ザ・ボンバーエディット

ボンバージャケット（ボマージャケット）は、1920年代に誕生しました。当初、パイロットを寒さから守るために作られたこのジャケットは、航空技術の進化と共にそのデザインを変化させていきました。航空技術が進歩し、飛行高度が増すとともに、極寒の地での飛行が求められるようになり、ジャケットは本革や毛皮、ウールなどの素材を使用し、保温性を強化するためのさまざまな工夫が施されました。このボンバージャケットの進化は、現在に至るまで続いています。

1940年代には、ジャケットの耐久性を高めるため、ウールのニット素材が袖口と襟に使われるようになり、その後、極寒の過酷な環境にも耐え得るナイロンやコットンレーヨン混紡素材の表地が導入されました。ミッドナイトブルーに代わってオリーブグリーンが定番カラーとなり、鮮やかなオレンジ色の裏地が加わることになります。このオレンジの裏地は、航空機が墜落した際にパイロットが裏返して着ることで、救助隊に見つけてもらいやすくするために設計された、非常に実用的な要素でした。ボンバージャケットは、実用性を追求しつつ、現代においても快適さと機能性を兼ね備えたアイテムとして愛され続けています。

多くのミリタリースタイル同様、ボンバージャケットも純粋に実用的な作業服から次第にファッションアイテムへと変遷していきました。1950年代から1960年代のイギリスでは、モッズやスキンヘッズといったサブカルチャーがこのジャケットを取り入れ、アメリカでは、ボンバージャケットが象徴する伝統的な男らしさに対する反抗の象徴として、クイアコミュニティの間でも広まりました。

デニムと同様、ボンバージャケットの本格的な流行に火をつけたのは、ポップカルチャーを代表する映画作品です。『理由なき反抗』や『トップガン』で、主演のジェームズ・ディーンやトム・クルーズがこのジャケットを着用したことにより、その人気は急速に拡大しました。1980年代から1990年代にかけては、2PacやRun-D.M.C.などのヒップホップアーティストたちがボンバージャケットをワークブーツや迷彩パンツと組み合わせ、ミリタリーファッションはストリートウェアのアイコンとなりました。力強さやたくましさを体現したボンバージャケットは、都市部の若者たちにとって、ファッションを超えた共感の象徴となり、単なるアウターウェアではなく、日常の「鎧」としての地位を確立したのです。