生デニムの魅力

生デニムとは、その名前の通り、手を加えられていない最も自然なままの未加工ファブリックのことを指します。よくセルビッジデニムと混同されがちですが、実は異なるものです。生デニムは、製織後にウォッシュ加工やダメージ加工を施していないファブリックを意味し、セルビッジはその製織方法を指します。現在では加工されたデニムが主流ですが、1970年代まではほとんどのデニムが生デニムとして販売されていました。

しっかりとした厚みと丈夫な手触りのデニムが最初に作られたのはフランスのニームだと言われています。デニムという名前は、フランス語で「ニーム産の丈夫な布」を意味する「serge de Nîmes」に由来しています。デニムの起源がニームであるかは議論の余地がありますが、確かなのは、デニムが元々実用的な用途で作られた素材であることです。アメリカでは作業着として広まり、その後、ハリウッド映画や軍服にも使用されるようになりました。1950年代、デニムは良く言えば反抗的なシンボル、悪く言えばスキャンダラスとみなされ、上流社会において「大胆な意思表示」をするファッションとして捉えられていました。60年代に入ると、デニムは若者文化の反体制的なアイコンとなりますが、やがてすべての世代にとって欠かせない、時代を超越する定番アイテムへと進化しました。

ロゥデニムを藍染液に浸す染色工程では、糸の表面のみが染料を吸収し、芯部は白いまま残ります。時間が経つにつれて着る人の身体やライフスタイル、性格に合わせて色が褪せ、形がなじんでくるのはこのためです。穿くたびに深い紺色の染料が少しずつ剥がれ落ち、白い糸が姿を表します。藍染めは淡い色の物や手に色移りすることがありますが、これも魅力のひとつです。新品を購入する際は、やや伸びることを考慮して、脚と股部分はジャストサイズ、ウエストはややきつめのモデルを選びましょう。初めて穿く時は生地が硬くゴワゴワするように感じるかもしれません。何回か穿くうちに糸が徐々に柔らかくなり、すぐに手袋のようにフィットするようになります。まだら模様やヒゲ、ハチノスと呼ばれる独特の色落ちが出てくるのも、穿けば穿くほど、味わいが増すロゥデニムの魅力のひとつです。

ロゥデニムについて最も多く寄せられる質問は、洗濯の頻度です。デニム愛好家の中には絶対に洗わないと言う人もいますが、ほとんどの人にとっては現実的ではないでしょう。布を清潔に保ち、染みを防ぐには部分洗いが効果的です。デニムを24時間冷凍庫に入れておく方法も、バクテリアを除去し、嫌な臭いを消すことができます。洗濯が必要な場合は冷水で手洗いするか、温度設定を下げて洗濯機で洗うことをおすすめします。また、ジーンズを裏返しにすることも大切です。本来の形を保ち、縮みを防止するため、乾燥機は使わず自然乾燥させてください。通気性をよくする物干しラックを使用すると、生乾きによる臭いを防ぐことができます。