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2025年12月22日

Collaborations

文化への敬意を織り込んだデニム

a woman in a white top and jeans standing on a block
デニムを研究と創作のキャンバスとして、新進気鋭のデザイナーたちと共にデザインの限界に挑むコラボレーションプロジェクト「THE DENIM」。創造性と職人技術を追求し、限定数量のジーンズを制作するこのプロジェクトの第3弾では、ジャック・アグボブリー(Jacques Agbobly)とタッグを組みます。

文化的なレガシー、アイデンティティ、そして人々のエンパワーメントに根ざした彼のブランド「Agbobly」の作品には、彼を育ててくれた女性たちへの敬意、育った環境への讃美が込められ、それらは伝統と革新、柔らかさと強さを併せ持つ鮮やかなニットウェアや彫刻的なデニムとして表現されます。

今回私たちはジャックと対談し、彼のデザイン哲学、そして「Black Boy Knits」から「Agbobly」へのブランドの進化を探り、従来のコルセットの概念を再定義する私たちの新たなジーンズの背景について聞きました。

a woman's backside in a pair of jeans with a belt
a woman in a black top and jeans posing on a pedestal
あなたが生まれ育った場所について教えていただけますか?
私はトーゴで生まれ、9歳までそこに住んでいました。2007年に家族がシカゴに引っ越したので、私はこれらの2か所で成長しました。幼い頃から既にファッションに強い興味がありました。祖母は家の一部を仕立て屋に貸しており、彼女たちが美しい作品を作る姿に夢中になっていました。父もまた衣料品業に携わっており、アメリカやヨーロッパから送られた品物を現地の市場で販売していました。ですから、私は常にファッションの世界に完全に包まれていました。

とても充実した基盤ですね。どのようにしてファッションを勉強することになったのですか?
アメリカに引っ越した時、大人たちからは、将来何になりたいかとよく聞かれました。その当時に明確な答えはありませんでしたが、服を作りたいという気持ちはありました。そして幸いにもサポーティブな教育者と家族がいたことで、私はパーソンズでファッションデザインを学び、織物、特にニットウェアとデニムに専念することができました。
a black and white photo of a man sitting in a chair
なぜニットウェアにフォーカスしているのですか?
ニットウェアは、私の育った環境の自然な延長のように感じました。母はアメリカへの引越しを実現するために髪を編んでおり、私も彼女の仕事を見るためにヘアサロンで多くの時間を過ごしました。私にとって、ニットウェアは編み込みのように感じます。糸を絡み合わせて美しいものを生み出すのです。また、パーソンズで過ごした時期にはデニムに夢中になりました。デニムの多様性が大好きです。ダメージを与えたり、形を変えたり、いろいろなことができるからです。

"デニムはまったく異なる生地に変化させ、ユニークなスタイルを生み出すことができます。"

a woman in a white tank top and jeans sitting on a chair
a woman in a white tank top and blue jeans holding her pants
確かにその通りですね。あなたは学業を終えた後、パンデミック中にブランド「Black Boy Knits」を設立しましたが、それはどのように始まりましたか?
はい。私は2020年に卒業しましたが、その時ちょうどパンデミックが始まりました。仕事がなかったため、全てを考え直さなければなりませんでした。在学中に編み機を集めており、以前教えていた先生に連絡して彼女のスタジオを使わせてもらいました。彼女は私のためにGoFundMeを立ち上げて、自分のスペースを設ける支援もしてくれました。私は毎日セーターを編むようになり、それが「Black Boy Knits」になりました。その運営を1人で行うことは、精神的にも経済的にもパンデミック下で私を支えてくれました。

そして今、あなたはアグボブリーに移りました。その変化を促したきっかけは何ですか?
数年後、私はCFDA/Vogueファッション基金に参加することができ、トム・ブラウンのようなデザイナー達から業界の在り様を学び、指導を受けました。その中で私はLouis VuittonやG-STARのように伝統を築きたいと思うようになりました。私の苗字であるアグボブリーと名付けることが、私にとっての文化を守り、同時にそれらへの敬意を表する方法でした。たとえ人々が発音に苦労しても、私にとって重要なものです。

あなたの文化は明らかに仕事に大きな影響を与えています。それによってどのように創造的なビジョンが形作られたのですか?
それは私が行うすべての中心にあります。子供の頃、人々は私の名前を正しく発音できず、多くの人がトーゴがどこにあるかも知りませんでした。かつてはそういったことが私を苛立たせていました。しかし今ではブランドを通じて私のアイデンティティを伝え、祝うためにその名前を使用しています。私はアグボブリーという人間がトーゴとアメリカの間で育ったという独特の経験、完全にアフリカ人でもアメリカ人でもなく、そのどちらでもない何かであることを映し出せればよいと考えています。

誰に創造的な刺激を与えられていますか?

私を育ててくれた女性たち、母と叔母たちです。彼女たちは家計を支える存在で、常に一生懸命働き、素敵に着飾っていました。私のブランドは彼女たちへのオマージュです。特に母は非常に粘り強い人です。彼女はたった一人で新しい国に移り住み、私たちのために生活を築いてくれました。ファッション界で私は常にアレキサンダー・マックイーンに憧れていました。彼の劇的なストーリーテリングは私に大きな影響を与えました。
a woman in a white tank top and black pants posing
ストーリーテリングといえば、あなたのコレクションは物語性と色彩に溢れています。私たちとのコラボレーションでは、どのようにアプローチしましたか?
私にとって、レガシーや文化的遺産は、ブランドに意味合いをもたらすその大きな要素です。G-STARには既にそのレガシーがあります。あなた達が90年代から存在し、長らく1つのコミュニティであり続けてきたことを本当に尊敬しています。だからこそ、これは本当に自然な流れのように感じられ、今回私はそこに女性らしさとエンパワーメントの象徴を取り入れるという方法でアプローチしました。これらは私にとって非常に大切なことなので、私はそれを物語る作品を作りたかったのです。

デザイン・プロセスはどのようなものでしたか?
G-STARのアーカイブを訪れたことは特に印象的でした。まるでキャンディストアにいるような気分でした。予定より多くの時間を過ごすために旅行を延長したほどです。私にインスピレーションを与えたのはヴィンテージの背中用矯正具で、それがコルセットのデザインにつながりました。人体を補正するための構造と力強さが印象的でした。伝統的に制約の象徴とされてきたものを、エンパワーメントの象徴に変えたのです。

過去の作品からインスピレーションを得たデザイン要素は他にもありましたか?
はい、カーブしたウエストバンドは私の以前のコレクションで制作した鎧のようなドレスから着想を得ました。このコラボレーションではその曲線美を取り入れ、連続性とブランドの一貫性を保ちたいと思ったのです。

作品の完成をどのように判断しますか?
実はほとんど明確な判断をしたことがありません。ファッションの前に美術を学んでいた時、当時の先生方が「絵画は決して完成しない」と言っていました。私は過剰にデザインしてしまう傾向があるのですが、チームが私の作品を洗練してくれます。G-STARでの挑戦はたった1つのアイテムを作ることでしたので、意図的に集中せざるを得ませんでした。
a woman in a pair of jeans with a belt around her waist
a woman in a white tank top and black pants standing on a block
ファッションを社会運動の手段として見ていますか?
確かにそうです。ファッションは私たちを結びつけます。誰もが服を着たことがあります。それは普遍的な言語であり、物語を語る力強い手段であり、社会変革のための重要なツールです。

新しい技術や素材を試すことはありますか?
デニムの限界を押し広げ、新しい加工やアートワークを取り入れています。デニムの潜在能力を最大限に引き出すことに胸を躍らせています。

ブランドが成長する中で、どのように一貫した創造性を保っていますか?
アートとビジネスの間で絶えずバランスを取っています。ファッションは私にとって個人的なものですが、同時に人々が手に取りやすいものである必要があります。人々にストーリーとつながりを感じて、作品を身に着けてほしいと思っています。それが、巧みでありながら親しみやすい、「Agbobly」です。

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