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2024年4月29日

Art

リサーチがアートに変わるとき

a shadow of a person on a large piece of fabric

アートとテクノロジーを交差させているMilou(ミロウ)の作品は、新たな試みとさらなるリサーチにつながる入り口です。歪みのあるツイル構造から実用的な色づかいまで、Milou Voorwinden(ミロウ・ヴォールウィンデン)は、そのクリエイティブなビジョンにテクニカルなニュアンスを自然に溶け込ませています。 青い糸をたどり、彼女は新たな視線でデニムが紡いできた歴史に立ち返りました。 「The Art of RAW」プロジェクトで、ミロウはリサイクル糸を通してデニムの概念を見つめ直し、最終的に「Warping Twills」(ワープするツイル)を完成させました。 「ファブリックの根本的側面に深く目を向け、新たに作り直してみるというのが、今回のアプローチでした。」

Profile
FEATURED ARTIST
MILOU VOORWINDEN
革新的で、実験的試みに積極的なMilou Voorwinden(ミロウ・ヴォールウィンデン)(1990年生まれ)は、プロダクトデザイナーとしてのキャリアを経て、テキスタイルデザイナーに転身。織機を前にした瞬間から、織物こそが自分の天職だと確信したといいます。博士号取得の可能性もある彼女は、常に伝統的な技術から新たなカタチへの発想をめぐらしており、そんな彼女の探求の対象が、維持可能な立体(3D)織物手法でした。ジャカード織のプログラミングが必要な、実に複雑なプロセスです。
Milou Voorwinden in a black and white chevron shirt standing in a room

リサーチャーでもあり、テキスタイルデザイナーでもあるわけですが、元々どんなきっかけで今の仕事に?

「初めて織機を前にした瞬間から、私は織物の無限の可能性に驚嘆してきました。使う糸、織り方やその構成、そして織り込んでいく一列一列のすべてが、最終的に出来上がるファブリックの特徴や美しさに異なる影響を与えます。クリエイティビティと技術力の両方が試される、非常に特別なプロセスです。プロダクトデザインに関わっていた経験から、私はすぐに織機を使った立体織りの布制作の可能性に気づきました。まもなくそれが私の仕事の焦点となったのです。」
a person is working on a piece of fabric on a table

このプロジェクトのコンセプトは?

「仕事をする上で私はよく、織られた布でできることをイメージし直す、ということにフォーカスしようと努めています。今回のコラボレーションのアプローチも同様でした。ツイル(綾織り)やインディゴに染められたコットン糸など、デニムというファブリックの中核を成す要素を、織る前の元の状態から見直し、イメージし直すことに焦点を置きました。サイズや織る方向をいろいろと試し、多様に歪んだツイルパターンを作ることができました。あるものはソフトなニュアンスの波形模様、またあるものはシャープで角のあるストラクチャーとさまざまです。何も知らずに見ると、ほとんど気づかないほどに極めて細かい仕事です。」

「色を扱うのは好きですが、私の作品における色づかいは大抵、技術的な考慮の結果であることが多いんです。」

—Milou Voorwinden(ミロウ・ヴォールウィンデン)

a machine with a ladder next to it in a factory

今回の作品はどのように制作しましたか?

「制作には産業用のジャカード織機を使用しました。ファイルをプログラミングして織機に読み取らせる必要があるのですが、私のクリエイティブプロセスの中でこれがもっとも重要な部分です。産業用のジャカード織機でデザイン制作を行うために、まずテクニカルカラーを含むイメージ作りから入りました。各カラーが、糸の特定の織られ方を示すように作ります。」
a close up of a weaving machine with blue and green threads

デニムを使った制作はいかがでしたか?

「今回のプロジェクトでは、概念的アプローチでデニムと向き合いました。主となる役割を担ったのは、ツイル(綾織り)ストラクチャーとリサイクルのデニム糸でした。また、織物の多用途性と実現可能な奥深さを見せるため、より多様な糸を織り込み、私の個人的なタッチを少し加えています。」

主に産業的なアプローチを取るのはなぜですか?

「産業用ジャカード織機の特殊な点は、各縦糸を個別にコントロールしながら織ることができるという点です。これによって、より多くの可能性が生まれますし、立体の織物や商品を制作するとなれば尚更です。これは、G-Starの産業的な経緯と3Dデニムの革新的なアプローチという、私の元々のインスピレーションにも結びついています。」
Milou Voorwinden working on a large piece of fabric in a factory
a person cutting fabric with scissors on a table
a machine that is spinning a large piece of cloth

3Dの話題が出たところで、完成作品について教えていただけますか?

「最終的なアートピースは、ジャカード織機を革新的に活用することで、平面(2D)から立体(3D)構造に仕上げることができました。ファブリックの透けて見える部分は3層、波形の部分は2層に織られているのですが、これらを組み合わせ、織機からファブリックを外して広げると、立体構造となる仕組みです。制作工程におけるすべての決断は、主に技術的な論理に鑑みて下したものでしたが、完成品を見ると、とても美しいものが出来上がったと思います。G-Starのデザイン制作における実用的アプローチに通じるものがありますね。」

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